生薬研究Research

生薬研究の様子

生薬研究とは、植物や動物、あるいは鉱物などの天然資源を医薬に役立てることを目的に総合的に行う研究です。生薬の代表的なものが漢方薬、身近なところでいえば薬草と呼ばれるものです。
シンビジウム「マリーローランサン」に着目し、2007年、徳島文理大学薬学部生薬研究室で「マリーローランサン」の研究がスタートしました。

マリーローランサン

100年に一度のらんの新品種
「マリーローランサン」

1977年創業以来、河野メリクロンで生み出され品種登録されたランの数は600種類以上にもなりますが、その中でもひときわ強い生命力を持つのが「マリーローランサン」です。

葉っぱは力強く、天を突き刺すように伸びていて、茎も花びらもすべてがエネルギッシュ。なのに、淡いピンクの花が咲いて、どこか品のある優しさも感じる魅力的な「ラン」です。
驚くべきことに、この「マリーローランサン」は「適切な環境で管理すれば100日以上も咲き続けることができる」という並外れた生命力を持っています。
「マリーローランサン」の“バルブ”は、他のシンビジウムのそれと比較しても違いが一目瞭然。太さも大きさもひとまわり違います。「バルブ」とは、茎の根元にあるぷっくりとした膨らみで、ラン科特有の部位。中には栄養分や水分が蓄えられていて、言わばランのエネルギーの源のようなものです。
この「マリーローランサン」のパワーについて、様々な研究を進めています。

研究の様子

118種類もの化合物を秘めた
神秘のらん

「マリーローランサン」の花、葉、花茎、根、バルブなどから、118種類にのぼる新規・既知の化合物を取り出すことに成功しました。これだけの長期にわたり一つの固有種の研究が続けられているのは珍しいことで、そのデータも膨大となっています。

研究の様子

動脈硬化や肥満の予防に
効果がある「サポニン」

「マリーローランサン」の葉の中には「サポニン」が非常に多く含まれています。現在確認できているだけでもすでに21種類の「サポニン」の取り出しに成功しました。
サポニンの中には、老化、抜け毛、薄毛、肥満、動脈硬化、コレステロール、血栓、高血圧、肝臓病、がん、痰などの抑制効果が認められるものもあります。

マリーローランサン

糖尿病の改善やがん予防
にもなる「ポリフェノール」

「マリーローランサン」には、ポリフェノールが多く含まれていることも分かりました。
「ポリフェノール」には、数多くの種類が存在し、効用も数多くあります。その代表的なものは、脳梗塞や動脈硬化の予防、血中コレステロールの抑制、肝機能の向上、殺菌、がん予防、糖尿病の改善に効果があるといわれています。

マリーローランサンの花茎

老化を防ぐ植物の
ファイトケミカル

わたしたちは呼吸をし体内に酸素を取り入れていますが、一部は体を攻撃する有害な物質である活性酸素に変化し、細胞を老化させる原因となります。切ったリンゴを放置すると茶色に変色し、ピカピカの金属がさびてしまうのと同じで、わたしたちの体も酸化し、老化していくわけです。この活性酸素を消去するものには、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)をはじめとする抗酸化酵素やビタミンA・C・E、ミネラルなどがあり、最近では植物に含まれる非栄養成分(ファイトケミカル)や若返りの酵素として話題のコエンザイムQ10などが注目されています。
「マリーローランサン」の花茎には、ビタミンCの10倍もの抗酸化作用の効果がある化学成分が存在することが分かりました。
2011年度からは「育毛並びに養毛作用を有するシンビジウム グレートフラワー・マリーローランサンの活性成分と製品化に向けた開発研究」をテーマに研究を進めています。
2012年には、「マリーローランサン」全草の抽出液を含む育毛剤に顕著な発毛・育毛効果と白髪改善が認められ特許を取得し、今や日本を含む世界24カ国・地域で特許を取得しております。
今後さらに研究を進めれば、驚くべき発見が待っているかもしれません。たとえば紫外線に対して抵抗力が強い花の部分からは、若返りの化合物といわれる抗酸化物質がすでに発見されており、育毛のみならず美容分野でも発展が期待されます。こうして日々、「マリーローランサン」の研究は進められています。